ペットボトルは危険
プラスチックが免疫力を下げる
あらゆるプラスチック製品には、性能をよくするためにさまざまな添加剤が使われている。東京農工大学教授の高田秀重さんが言う。
「劣化を遅らせるための紫外線吸収剤や酸化防止剤のほか、形を整える可塑剤や剥離剤、難燃剤、染料など、プラスチックにはさまざまな添加剤が練り込まれています。これらの物質の中には、ホルモンの働きを乱す『内分泌かく乱物質』も少なくない。肥満だけでなく、乳がんや子宮内膜症、精子数の減少などにつながる可能性が示唆されています」
健康被害のあるホルモンといえば、1998年頃に問題になった「環境ホルモン」のことを覚えている人は多いだろう。当時、主にカップ麺などの容器に使われている発泡ポリスチレンから有害物質が溶け出し、体にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があることが報道され、話題になった。この騒動について、医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが解説する。
「環境ホルモンの問題は1990年代頃から注目されるようになりました。もともと日本では水俣病やイタイイタイ病、四日市ぜんそくといった公害の集団発生の歴史により、窒素や水銀、カドミウムなどの毒素が人体に影響することが広く知れ渡りました。そこへさらに、これらの毒素とは異なり、長期的に摂取し続けることでじわじわと健康を損なうものとして、新たにプラスチックが問題視されるようになったのです」
もともと、プラスチックは有機化学物質の一種で、基軸になるのは、人間の体の中にも存在する炭素と水素。この構造が生物のホルモンに似ているため、影響を与えやすい。
「細胞の中でホルモンが働くためには、ホルモンの種類ごとに形が異なる鍵穴のような『受容体』に、ホルモンがピッタリとはまることで、内臓や神経に指令が送られます。ところが、ある種の化学物質は、この鍵穴にはまってしまい、ホルモンの働きを阻害するのです。これが『内分泌かく乱物質』であり、一般に『環境ホルモン』と呼ばれるものです」(高田さん・以下同)
ホルモンというと、男性ホルモンや女性ホルモンなど、生殖にかかわるものが連想されるが、それだけではない。血糖値を抑えるインスリンや心の安定にかかわるセロトニン、やる気を出すアドレナリン、眠りを促すメラトニンなど、ホルモンの数だけ鍵穴(受容体)があり、かく乱物質の被害は全身に及ぶ。
「1980年代中盤から問題になったダイオキシンも、環境ホルモンの一種です。薬物代謝酵素の受容体に結合し、免疫に欠かせないビタミンAを減少させ、免疫力を低下させたことにより、北海でアザラシの大量死が起きました」
高田さんは「人間の体でも同じことが起こる可能性は高い」としたうえで、こうしたかく乱物質が、いままさに、人類の免疫力の低下を招いている可能性を指摘する。
「かく乱物質の種類によっては、免疫に関連する受容体に影響することは充分に考えられます。現在の新型コロナウイルスのまん延も、かく乱物質が原因の1つである可能性はゼロではないでしょう」
一方、ペットボトルやカップ麺の容器に使われているフェノール類は、生き物の体の中で女性ホルモンのような働きをすることが多い。オスのメダカをメスに変えたり、人間でも、妊娠している場合は、胎児に影響が及ぶという。
「こうした作用が指摘され、フランスでは2010年代の時点で、危険性がある環境ホルモンの『ビスフェノールA(BPA)』を含む製品はすべて禁止されました」(室井さん)
高田さんの研究では、ジッパーつき保存袋、スチロール容器、ポリ袋、ストロー、食器用スポンジ、ポリエチレン手袋などの日用品のほか、いまや必需品となった不織布マスクなども対象とし、環境ホルモンが含まれているかどうかを検証した。その結果、35品目中33品目から環境ホルモンが検出された。BPAはハンバーガーなどの包み紙のほか、かつては哺乳びんにも使われており、問題になった。
「一部の不織布マスクからも、環境ホルモンが検出されました。ですが、マスクは直接口の中に入れたり、食品に付着するものではないので、一般的な使い方をしていれば、心配はありません。ただし、こうした製品の使用後はポイ捨てなどはせず、きちんと処分してください。雨で流されて海に入れば、ウミガメや魚が食べてしまったり、めぐりめぐってヒトの体にも入りかねません」(高田さん)
少し前の報道にはなりますが『英ガーディアン紙』の報道によると、
世界9ヵ国(19カ所)から集められた、11のブランドのペットボトル入りミネラルウォーター259本を検査した結果、
そのうちの242本(全体の93.4%)、1リットル当たり平均325個のプラスチック粒子が発見されました。多いものでは、1本で10,000個以上を含んでいるものも発見されました。
上の写真の、カラフルに色付けされているものがプラスチック粒子で、髪の毛よりも太いそうです。
『WHO(世界保健機構)』はこの発見に対し、「現在のところ人の健康への影響の証拠はまだ見つかっていないが、新たな懸念すべき領域だという事は認識している」と回答し、より詳細なリスク評価を行っていく事を表明しました。
また『ナショナルジオグラフィック』は、ペットボトル入りミネラルウォーターは極度の暑さにさらされた際、プラスチックの成分が中の液体に溶け出し非常に危険である事を報道しました。
気温が上がるにつれて、ペットボトルを製造する際に使われる「アンチモン」という物質がペットボトル内の水に溶け出し、このアンチモンは多量に摂取すると毒だそうです。
夏に暑くなる車内に放置したペットボトル内の水からは、推奨されている安全基準を超えるアンチモンが検出されました。
また先日、プラスチックを加工する際に使われる物質が、乳がんのリスクを高めるという記事を書きましたが、
(記事はコチラ ⇒ プラスチックと乳がん(※30歳~64歳女性の死亡原因1位)の死亡者数増加の関係「欧州司法裁判所もそのリスクを認める」)
この記事内で紹介した危険物質、BPAもペットボトル内の水から検出されたそうです。
ナショナルジオグラフィックの記事には、
「緊急時にはペットボトル入りの水は重要な役割を果たす。しかし普段は、ペットボトルを使うメリットは本当に皆無だ」
とあります。
そこで今回は、ペットボトルよりも水道水の方がよいと考られている理由を、マッケイ・ジェンキンス(Mckay Jenkins)氏の説明をもとに分かりやすく紹介します。
https://www.cucanshozai.com/2017/12/tap-water-better-than-bottled-water.html
https://www.gizmodo.jp/2018/03/report-finds-microplastic-in-93-of-bottled-water-tested.html
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